ピドニアの世界へようこそ

私の標本箱から (42)

キスジトラカミキリ(Cyrtoclytus caproides )♂ 大分県湯布院町塚原 7.ⅵ.2024(左2頭);右2頭は愛媛県瓶ヶ森林道産キスジトラ♂(左)と屋久島安房産クロキスジトラ(C. kamakarii )♂(右)



むし社の「日本産カミキリムシ大図鑑Ⅱ」によれば、これまで永きにわたって亜種扱いであった屋久島産が、その特異な特徴の数々から独立種扱いに格上げされた。色彩の特異性に加え、南九州産の個体でも屋久島産に繋がる特徴がみられない点がその根拠とされている。

さて、昨年筆者の手もとにこれまで未所有であった九州産の本種がもたらされたが、これが意外にも実にクロキスジトラっぽい顔つきをした面白い個体だったため、ここに取り上げさせていただいた。

むし社図鑑によれば、「九州南部産の個体でも次種(クロキスジトラ)に移行する傾向の個体がまったく見られず・・・大隅半島甫与志岳産までもが次種の特徴が全く現れない」と記されている。しかるに、ご覧の通りこの2頭は上翅肩部の茶褐色部がかなり黒化し、体色自体も黒味を帯びることで、図鑑に図示されている甫与志岳産よりもはるかにクロキスジトラに近い印象を受ける。しかもこれら2頭は九州南部の産ではなく、九州中部に位置する大分県産である点が興味深いところで、普通種故に関心が薄い所為か、「大分県のカミキリムシ」(2009)にもそうした点については一切触れられていない。

果たしてこの2頭だけが特異なのか、それともこの地が九州の中でも特異なエリアなのか!?機会があれば是非とも近隣各所の標本を見比べてみたいと思う今日この頃であります。




<< 前のページに戻る

↑ PAGE TOP